3月の初めに私たちは「手作りアニメーション体験:おどろき盤」の出前授業を特別支援学校で実施しました。参加者は高校1年から3年までの22名。自分が描いたものがどんなアニメーションになるか、みんな興味津々で、色とりどりの「おどろき盤」を制作しました。多くの生徒の方は「ぬり絵」タイプの円盤を用いて描きました。カラーペンで枠からはみだすような元気なタッチで描いた「おどろき盤」は、回して見ると鮮やかな虹色に見えたり、力強いペンの描きぶりが躍動的なリズム感を生み出していたり、とても楽しいものになりました。
円盤上の細長い小さな隙間(スリット)越しに、鏡に映った絵を見るというアナログな鑑賞方法ではハッキリと動画の効果がわかりにくい場合には、Webアプリ「マジカループ」を用いて円盤を撮影します。「マジカループ」には「おどろき盤」のデジタル画像を回転再生する機能が備わっているため、授業での活用に便利です。今回の授業でも「マジカループ」で撮影・再生する方法を大いに活用しました。授業の終わりには、教室の前に用意されたスクリーンに生徒の皆さん全員の作品(デジタル動画)を順番に映し出して、発表会を行いました。出来上がった作品をみんなで見てみることで、体験を共有できたことも大変良かったです。生徒のみなさんが興味をもって参加してくれたことで充実した出前授業となりました。
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今回、出来上がった「おどろき盤」作品はとてもバラエティ豊かでした。イルカのジャンプを生き生きと描いた作品や、前もって用意した精密な絵コンテを元にした本格的な作品もありました。「おどろき盤」では基本図形の組み合わせでも動きの面白さを表現できるので、「ぬり絵」タイプを用いて色とりどりに色を付けたり、好きな形やキャラクターを描き加えたりして、シンプルで楽しい作品も出来上がりました。特別支援学校高等部3年生の生徒のみなさんは、それぞれ個々の能力や興味に応じて「おどろき盤」に積極的に取り組んでくださいました。
描いた作品は鏡に映して回して見る方法とともに、今回もタブレット端末を用意し、Webアプリ「マジカループ」で撮影する方法も並行して行いました。授業の終わりには舞台上のスクリーンにそれぞれの作品(デジタル動画)を大きく映し出して、小さな発表会を行いました。体育館の広い空間での特別授業。卒業を間近にひかえた皆さんの特別な時間のお手伝いが、ほんの少しですが、私たちとしても出来てよかったです。
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今回は杉並区の高齢者の方々10名を対象に「手作りアニメーション体験:おどろき盤」を実施しました。参加された皆さんには、19世紀を起源とする昔の円盤型のアニメーション装置に親しんでもらい、絵や図形を描いてオリジナル作品を制作していただきました。
ふだんは児童・生徒向けに行うことの多いこのプログラム。高齢者の方々ははたして興味をもって参加して下さるのか、一体どんな作品を作って下さるのか、施設に訪問する私たちとしてもちょっとしたチャレンジでした。
参加者の皆さんは、スタッフが用意した作品例を模写して花が咲く動画を作ったり、作品例を参考に抽象的な図形の動画を作ったりされて、時間いっぱいまで、楽しく熱心に取り組んで下さいました。
「おどろき盤」は本来、鏡に映った絵柄を円盤のスリット越しに見ながら回して楽しむ装置です。描いた絵柄によっては、絵の動きがちょっと分かりにくいことがあります。
今回はタブレット端末を用意し、Webアプリ「マジカループ」を補助的に使用しました。回転アニメーションを楽しむための当館オリジナルのデジタル教材です。参加者の描いた「おどろき盤」を「マジカループ」で撮影、その画像を回転させると、肉眼よりもハッキリと動きを見ることができます。
こうしたツールも活用しつつ、皆さんにアニメーションを楽しんでいただきました。
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昨年度(2020年度)はコロナ禍の状況もあることから、美術館に来館してもらうことはできず、出前授業によって3年生から6年生までの全クラスを対象に5日間、合計8回もの授業実施となりました。内容としては、おどろき盤(3年生)、青写真(4年生、5年生、6年生)です。
おどろき盤の制作では、19世紀の作例コピーを見本として、どうしたら絵が動いてみえるようになるか、鑑賞方法自体を自分で発見することで興味を持ってもらい、次に思い思いの絵柄や図形を描くことでアニメーションの仕組みを体験してもらいました。
青写真の制作では、どの日も幸い天候に恵まれ、無事に太陽の下で焼き付けができました。光(紫外線)をあてると、印画紙の色がどんどん変化していくことも、みなさんに注意深く観察してもらいました。素材によって光の通し方が異なることもあって、青写真でのフォトグラム制作では、最初に思った通りに作品を作ることはなかなかできませんが、そうした意外性もまた、この技法の面白さだと実感してもらえたのではないでしょうか。
児童のみなさんにとっては、一年に一度の東京都写真美術館の授業。多くの人たちが、一年前、二年前にどんなものを作ったか、美術館でどんな体験をしたかを覚えていてくれたのも、私たちとしては大変うれしい体験でした。
※実施した内容は2020年度のものです。今年度のスクールプログラムの実施内容については、当館ホームページをご確認ください。
東京都写真美術館スクールプログラム2021年9月〜2021年12月
http://topmuseum.jp/contents/pages/school_index.html
「おどろき盤とは?」まずは19世紀の絵柄のレプリカを体験
おどろき盤に思い思いの絵を描きます
青写真印画紙の上に、素材をならべています
太陽の光で青写真を焼き付けています
青写真(サイアノタイプ)は19世紀に発明された写真方式。太陽の光で印画できるため「日光写真」とも言われ、その名のとおり深い青色が特徴です。青写真の印画紙は感度が低いため、暗室がなくても作品制作ができる印画法となっており、屋外で日光によってフォトグラム作品を作ることができます。当館では2015−16年のリニューアル改装工事による休館期間中にも、この青写真のワークショップやスクールプログラムをアウトリーチ活動のひとつとして実施してきました。
「体験セット」の中には、制作の手引きと当館自家製の青写真印画紙が2枚入っています。一枚目はテスト、二枚目には本番焼き付けに使っていただくのでも良いですし、お子様と保護者の方が一緒に作っていただくのも良いかと思います。3日間の配布イベントでは、受け取りに来られたのは大人の方がほとんどでしたが、「子供と一緒に作ろうと思って」と仰る方もいらっしゃいました。普段のワークショップと異なり子供たちの姿は配布会場にはありませんが、おうちでご家族で制作される様子が思い浮かびます。
皆さんが制作された青写真作品をスマホなどで撮影した画像をメールでお送りいただき、当館で記録のスライドショーを制作して、ホームページ上で公開します。作ったものをシェアするのもまた、ワークショップの楽しみの一つですね。
「ハッキリ出ました!」「たのしかったです」「ここはちょっと思った通りにいかなかったから、今度やる時はこうしてみよう…」などなど。焼きあがった青写真からは、作った人それぞれの思いが見えてくるようです。
「おうちでワークショップ 青写真」動画リンク(参加者作品のスライドショー)
当館の1階スタジオ前で配布を行いました
青写真印画紙2枚入りの「体験セット」を手渡しました
]]>ワークシートの内容は、それぞれの展示で気に入った作品を一点ずつ選び、その作品の大まかなスケッチと作品から感じられる物語を想像して書くもので、図工の先生の発案によるものです。
感染予防のため、会場内では「しゃべらない」。窮屈ですが、仕方ないことです。でもクラスの友達がどの作品をお気に入りに選んだのか、気になるものです。
「・・・(あの子はあれを選んだのか。)」
というふうに、時々友達の姿を横目に見つつ、気に入った一点の前で画面を真剣に見入る子供たちの姿が印象的でした。
スクールプログラム
港区立白金の丘小学校
実施日:2020年11月17日(火)、19日(木)
参加者:5年生 127名
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東京都写真美術館は恵比寿にあるので、学校によっては美術館と学校との距離の問題で、なかなか図工の時間などを利用しての来館がかなわないこともあります。しかもコロナ禍の今となっては、校外学習を実施しない学校も多く、さらに来館についてのハードルが高くなってきています。そうしたなかでも、先生方はさまざまな工夫をして、美術館との交流授業を考えています。東村山市立南台小学校では、今年度、2つの学年でそれぞれ違う方法で授業をおこないました。
ひとつは4年生のおどろき盤制作。これは校外学習でも出前授業でもなく、オンラインで行いました。美術館スタッフは写真美術館のスタジオにいて、そこからパソコンを通して、学校の図工室とつなぎました。あらかじめ学校に送っておいた19世紀のおどろき盤のレプリカを子供たちが手にしながら、そこに描かれたシマウマはどうやったら走っているように見えるのかを、パソコン越しの対話を通して考えながら、仕組みを発見しました。実際の制作は先生が図工室でアドバイスしながらおこない、最後に作ってみた感想などを共有しました。
あとから送られてきた感想には「一番おもしろかったところは、(おどろき盤の)穴をのぞくだけで違う世界に行けたような気持になったところです。」「むずかしかったけど最後うまくできた。先生とみんなのおどろき盤を見られて楽しかった。」など、素敵な感想がいっぱいありました。
5年生は、当館から職員が学校に訪問し、「写真ってなあに」というテーマのもとに、写真作品をプロジェクターで教室に投影し対話型鑑賞を行いました。じつは図工担当の河野先生は、毎年、印画紙作りからの青写真制作や、段ボールでのピンホールカメラ制作などを、5年生の授業でおこなっていました。そのため、先生がおこなう写真に関わる制作と、当館による写真作品の対話型鑑賞で、5年生の1年間のうちに、制作と鑑賞の両面からとことん写真の楽しさと仕組みを知ることができる流れになっています。
「色と形と言葉のゲーム」でウォーミングアップしたあとで、当館所蔵作品を2グループに分かれて2点鑑賞しましたが、ゲームでも鑑賞でも、たくさん発見し、想像し、様々な意見が飛び交い、時間がいくらあっても作品を見飽きないようでした。
子供たちからは「影がこっちに来ているからここは窓があるのかな?などと、写真の外を写真の中から考えることができておもしろかった。」「今は色がある写真が多いので、白黒の写真は初めて見た。もし交流授業をしていなかったら、白黒の写真や不思議な写真を見られなかったと思う。交流できてよかった。」「自分で気づかなかったことも友だちが気づいていて、写真からいろいろなことを考えるのも楽しかった。」と、様々な発見ができたことがうかがえる感想をたくさんいただきました。
スクールプログラム
東村山市立南台小学校
実施日:2020年10月29日(木)
参加者:4年生 58名
実施日:2020年11月12日(木)、13日(金)
参加者:5年生 59名
おどろき盤の覗き方を発見してびっくり。(4年生)
長い時間見ていても、次から次へと新しい発見が飛び出します。(5年生)
]]>今回、使用するのは8×8のマトリクス(光源)LEDです。これを、プログラミングによって制御することで、アニメーションにしました。講師は「今のギャルは電子工作する時代」をスローガンに掲げる、ギャル電子工作ユニット・ギャル電のきょうこさん。参加者の半数は映像や電子工作のワークショップは初体験でした。
まず最初に、ギャル電さんの活動や、背景にある考え方を紹介してもらいました。検索エンジンとコピペを駆使して自分たちの欲しいものを作る、ギャルのマインドによる電子工作の考え方を、ギャルっぽい話し方やビジュアルと技術的な用語は混ざり合った独特のスタイルで伝えるプレゼンで、難しいはずの内容も親しみやすくなり、会場には終始笑い声がきこえていました。
つづいていよいよ、制作です。まずははんだ付けによって、LED基盤やマイコンボードなどのパーツを接続していきました。初対面の人もいるとは思えないほど、皆さん器用にはんだ付けをしていました。ある参加者の方は、はんだ付けをマスカラやネイルアートのような感覚で楽しみながら行ったそうです!
パーツが完成したら、次はパソコンでのプログラミングに移ります。はじめに参加者それぞれがアニメーションにしたいドット絵のファイルを作り、次にそのファイルをコードの中で呼び出して、交互に表示させるようにプログラミングすることでアニメーションにしました。最後に、参加者の皆さんが作成したドット絵アニメのコードを、実際に8×8マトリクスのLEDで動くようにして、完成です。ドット絵なんて思いつかない方もいるかもしれない、心配していましたが、今回の参加者の方たちは、むしろ創意工夫を凝らして個性豊かなアニメーションを制作していました。
機材がデリケートであるなどの理由で、きょうこさんが準備した箇所もあるとはいえ、制作の大部分は参加者の方が自分で行いましたが、電子工作初体験の方も含め、皆さんリラックスして、楽しみながら作りたいものを追求していました。参加者の皆さんからは「もっとたくさんの人にやってほしい」「中学生の娘と一緒に受けたかった」などの感想をいただきました。このワークショップを通して、電子工作やプログラミングを、今までより身近で気軽に楽しめるものに感じてもらえたのではと思います。普段は公共空間でサイネージなどのかたちで目にするLEDですが、単なる受け手としてだけでなく、ご自身でも扱えるものとして、これからはちょっとクリエイティブな目線で見ていただけると嬉しいです。
「映像ワークショップ LEDの明滅で、アニメを作ろう」
実施日:2020年10月31日(土)
参加者:3名
ギャル電・きょうこさんによる活動紹介
はんだごてを使って、パーツをつなげていきます
ドット絵を作ります
コードが動くようになったLEDを、それぞれデコレーションしたポーチに入れて完成です
]]>これまでには、普段からパブリックプログラムやスクールプログラムで実施している写真・アニメーション制作プログラムおよび「色と形と言葉のゲーム」のファシリテーター研修や、プロの手話通訳者を講師に招き、耳が聞こえない方に対する接し方から簡単な手話を実践的に学ぶところまでのレクチャーなど、現在の当館のボランティア活動を行う上で必要と思われるさまざまな研修を行ってきました。
2019年度も、いくつかの研修を実施。1つ目は、作品の額入れのデモンストレーションや、館のバックヤード解説など、普段は目にすることのない美術館の裏側に関するレクチャー。2つ目は、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)の教授であり、同大のアート・コミュニケーション研究センター所長でもある福のり子氏による対話型作品鑑賞の講演です。
なかでも11月24日に開催した福のり子氏を講師に迎えた研修では、当館ボランティアに加え、当館が所属する公益財団法人東京都歴史文化財団の他施設のボランティアも一緒に参加して実施する、当館初の機会となりました。コミュニケーションや対話を交えた作品鑑賞にまつわる福先生のレクチャーは、常日頃から意識的にものを見ることの大切さや、単なる答えではなく、物事の解釈や問いそのものを考え出す人間ならではの能力について、具体的な事例を踏まえながらテンポ良く進みました。最後には、皆さんからの質問や疑問に丁寧にお答えいただき、深い学びに満ちた、あっという間の3時間となりました。
質疑応答タイム。皆さんから活発な質問が飛び交いました
]]>当館のプログラムでは、展示室やスライドで作品を鑑賞する前に、自由な発想を促すためにおこなっていますが、見たこと、感じたことを言葉に置き換えやすくする効果や、どんな発言しても間違いではなく、それぞれの見方が尊重されることを知ってもらう働きがあります。また、参加者全員に発言する機会があるため、限られた人の意見のみが強調されることもありません。
また、一見すると子供向けの教材と思われがちですが、年齢を問わず楽しんでいただけるのもこのゲームの特徴です。それぞれのカードをじっくり見比べることによる「観察力」、自分で発言するだけではなく他者の意見に耳を傾けることでの「傾聴力」、その名の通り色と形という二つの要素に目を凝らし、想像を膨らませることによる「思考力」や「想像力」など、さまざまな力を複合的に育成することが可能なツールです。
コミュニケーションの活発化のためにも、ぜひ、お友達やご家族、会社の同僚の方と一緒におこなってみてはいかがでしょうか?お互いの発言を聞き合うことを通じて、新たな発見があるかもしれません。
子供から大人まで、幅広い年齢層の方に楽しんでいただけるゲームです
さまざまな色や形、言葉が並びます
]]>10〜20人程度のグループに分かれたら、まずは、じっくり作品を観察するところからスタート。その後、気づいたことや気になったことを話してもらいます。
ここで、「TOPコレクション イメージを読む 写真の時間」展開催中に、川内倫子の〈Illuminance〉を鑑賞したときのことをご紹介しましょう。
はじめは、「人がいる」「光が階段に伸びている」といった画面上の目についたものに関する発言から、徐々に、「階段は下から上に向かって伸びている感じがする」「足がぶれているから階段を走っている人がいて、エネルギーを感じる」「夕方だと思う」「光の強さから考えると、昼なのかもしれない」・・・などに話が発展していきます。みんなですみずみまで作品を観察し、さまざまな角度からの対話を通して多様な気づきを共有していくことで、例えば写真を撮影した時間や作家の立ち位置に思いをめぐらせたり、最終的には、作家の制作意図に迫るほどの鋭い意見が出ることもしばしばです。
既に用意された答えに誰よりも早く到達するのではなく、自分の頭で主体的に考え、借り物ではない自らの言葉で表現すること。数学などの教科とは違って、ある明確な答えを持たない「芸術」だからこその面白さなのではないでしょうか。
「写真」という身近なメディアを用いた作品鑑賞は、絵画や彫刻などのジャンルと比べて、誰もが撮影経験があるため親しみやすいもの。また、複数の人でともに鑑賞し、さまざまな見方を共有すれば、さらに多くの気づきが、作品を、そしての子供たちの「生きる力」を輝かせるはずです。
川内倫子〈Illuminance〉を鑑賞。どんどん手が挙がります
]]>このプログラムは、さまざまな背景を持つ人が参加者として集まり、見える人と見えない人の2名のスタッフがペアになって参加者をナビゲートし、意見を交わしながら展覧会をめぐるワークショップです。見える・見えないの垣根を取り払い、その場に集った参加者が一緒にいくつかの作品を鑑賞しながら、「見えていること」「見えないこと」を意識しつつ、言葉にしていきます。
2019年度には、「TOPコレクション イメージを読む 場所をめぐる4つの物語」、「TOPコレクション イメージを読む 写真の時間」、「日本の新進作家vol.16 至近距離の宇宙」の3つの展覧会を対象とし、計6回実施しました。
例えば、「TOPコレクション イメージを読む 場所をめぐる4つの物語」の出品作であるユージン・スミス〈カントリー・ドクター〉の鑑賞では、夜通しで手術を行った後の医師の様子であるというタイトルの情報から、対話が始まりました。「夜通しということで疲れた表情はうかがえるが、それよりも整った顔立ちが際立っている印象がある」「撮影者の意図はどういったものだろう?」という意見があり、それに続いて被写体が持っているカップや被写体の背後にあるものの様子などについて様々な意見が交わされた後で、ある参加者から「皆さんの意見を聞いていると、このポーズは自然なものではなく、撮影者が指示をした上で行った意図的なものなのかな?という気がしてきました」という声が上がり、参加者全員が頷く場面もありました。
このように、参加者の皆さんが、常日頃から当たり前だと考えていることや、わかっていると思い込みがちなことも、実際に複数の人々で意見を交わしながら丁寧にひもといていくことで、見え方が変化していくことを体験していきます。
展示室からスタジオに戻った後は、参加者もスタッフも同じテーブルにつき、一人ひとりの感想を聞きつつ、その日のプログラムを振り返ります。「特に抽象的な作品は言葉にして伝えることの難しさを感じました」「誰かと見ることで、一人では気づかない視点を得られました」「お互いの言葉でストーリーを作り上げているような楽しさがありました」などの感想があがり、和やかなムードでした。
その場にいる参加者の発言ひとつひとつを積み重ねながら、誰かと一緒に見る作品鑑賞の面白さ、そして目に見えることや見えないけれど感じ取っていることを言葉にする難しさを実感する新たな発見の機会となりました。
ユージン・スミス〈カントリー・ドクター〉を鑑賞
展示室での鑑賞の後、皆で気づいたことや感想などを話し合います
]]>ですが、およそ20年ほど前まではフィルムカメラが主流だったため、撮ったその場で写真を見ることはできませんでした。フィルムで撮影したものを見るには現像が必要なのです。現像とは、文字通り「像が現れる」と書きます。現像しなくてはイメージが現れてきません。撮った後、写真が出来上がるまでにひと手間かかります。フィルム写真はそういう点で、デジタル写真よりも不便なものです。
このワークショップでは、今日では「不便なこと」とも言える、暗室での写真の現像を体験します。ではなぜ、このデジタル時代に写真を「現像」するのでしょうか?
当館で行っている「モノクロ銀塩プリントワークショップ」の楽しみ方の一つは、古いネガフィルムから白黒写真を自分の手でプリントすることです。このプログラムで、白黒写真の手焼きプリントを作るには、暗室の中で、手作業によって、ネガフィルムから現像を行います。
このワークショップにはこれまでたくさんの方にご参加いただいていますが、どなたもとても熱心な方ばかりです。その中でも、古いネガフィルムを持って来られる方の姿が特に印象的です。
何十年も昔に撮影された、ご自身が子供の時の写真や、あるいは親御さんの若い時の写真を誕生日のプレゼントにと、夢中になって写真をプリントする方のご様子は、とても素敵です。
わざわざ遠くのご実家の押入れから、このワークショップに参加するために昔のネガを探し出して持ってこられたという方、その意気込みに感服しました。
このワークショップのために、そこまで念入りに準備して熱心に制作されている。参加者の皆さんの熱い思いが伝わってきて、私たち美術館スタッフにとっても、大変うれしい出来事です。
もちろんフィルム写真が好きで、今もずっとフィルムで撮られていて、最近撮った写真をプリントする方もワークショップを大いに楽しんで下さっています。でも古い写真が暗室特有の闇の中で、蘇って現れてくる瞬間の驚き、参加者の皆さんの感動の様子は、何か特別なものがあるようです。そこで皆さんが感じられているのは、まるでタイムスリップのような体験ではないでしょうか。
「ネガは楽譜であり、プリントは演奏である。」、この言葉は20世紀を代表する写真家アンセル・アダムスの言葉です。演奏が楽譜の単なる再現ではないように、暗室での現像プロセスを通して、人は単に昔の写真を再現しているのではなく、新たに過去と出会い、過去を再発見しているのかもしれません。
今のコロナ禍の状況により、大変残念ながら今年度はまだ「モノクロ銀塩プリントワークショップ」を開催することができないでいます。しかし、いずれまた再開の時がくれば、必ずこのプログラムを皆さんにお届けします。その時はぜひ、ご参加いただけましたら幸いです。
古い写真にも、何か新しい発見があるかもしれません。
]]>普段はプログラムの実施報告などをご紹介しております本ブログですが、このような状況のため、令和初めての年(2019年度)に開催したプログラムのうちいくつかについて、これから5回にわたってふりかえってまいります。
当館の教育普及プログラムは2つに分かれます。一つは一般の方を対象としたパブリックプログラム、もう一つは学校の授業などでの来館を対象としたスクールプログラムです。また当館のプログラムの特徴は、制作と鑑賞、両方のワークショップが揃っているということです。
このような特徴のもとに開催してきた各プログラムを、まずは、そのエッセンスだけでもみなさまに感じていただければ幸いです。
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ベッヒャー夫妻が撮った9枚の家の作品の鑑賞では、それぞれの家のデザインの特徴をよく観察していて、外壁のデザインが、LやTを逆さまにした形などのアルファベットに見えるという意見がありました。
また、各自が9点の作品の中から一番好きな家を選ぶと、煙突がある家が一番人気でした。外に階段がある家が面白そう、住みやすそうに見えるなど、様々な意見が交わされました。
スクールプログラム
渋谷区立加計塚小学校
実施日:2018年12月11日(火)
参加者:3年生 計40名
当館オリジナルゲームでウォーミングアップ。
ベッヒャー夫妻の作品を鑑賞する。
]]>この学校は毎年来館し、子供たちは複数の体験を通じて写真や映像への体験と理解を段々深めていきます。この日来館したのは4年生。昨年、3年生の時に初めて当館に来館して「驚き盤」を体験しました。
コマ撮りアニメーション制作では、二つのハサミをモチーフにして、ハサミ同士が戦っている様子を表したアニメーションや、プラスチックのモチーフが段々と集まってきて鬼の顔になるアニメーションなど、それぞれ想像力を生かして作品を作りました。
鑑賞では、アイスブレイクのゲームをしたあとで、展示室で作品を対話を交えながら鑑賞しました。ベッヒャー夫妻が撮った九枚の家の写真を鑑賞したときに、煙突があるということはこの家には暖炉があるのだと気づいた人がいました。他にも、窓の数や配置が違うことやデザインがおしゃれな家があることなど様々な角度から作品をよく観察して、気づいたことをいろいろと話してくれました。
スクールプログラム
渋谷区立加計塚小学校
実施日:2018年12月6日(木)
参加者:4年生 計63名
「くずれる」をテーマにしてアニメーションを作る。
ベッヒャー夫妻の作品を鑑賞する。
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今回は「建築 × 写真 ここのみに在る光」展に合わせて開催しました。
赤ちゃんを連れた方や手話を話す方などさまざまな背景をもつ方々と一緒に展示室をめぐりました。
このプログラムでは参加者同士のコミュニケーションが一つの大きな特徴となっており、参加者それぞれが詳しく作品を観察して、気づきを持ち寄り、話し合うことで交流し作品の理解を深めようというものです。
自分一人の理解で作品について述べたり、他の人の話から作品について様々に想像したり、皆さんの自由な発想で素敵な見方がいっぱい広がりました。参加者全員でコミュニケーションをとりながら鑑賞することによって、様々な深まりがみられました。
「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ 冬期」
スタッフ:視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ
実施日:2018年12月9日(日)
参加者:計6名
原直久の作品を鑑賞する。
瀧本幹也の作品を鑑賞する。
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この日のワークショップでは、動物好きな人が多く、ペットの写真をプリントした人が多くいました。
そして初めて暗室に入った人も多く、暗室作業により作られた写真が、プリンターで出力されたものよりも画像の階調の豊かさが違うこと、露光時間が一秒だけ違っても大きな変化があったという感想を話してくれました。
高校時代に写真部に所属していた方は、暗室経験はあるけれどこの日初めてコントラストフィルターを使ったそうで、フィルターの号数を二分の一あげるだけで写真のコントラストが大きく変わることが分かったと話していました。
このワークショップは、モノクロフィルムの方だけでなく、カラーネガフィルムをお持ちの方や、また普段はデジタルカメラで撮影するためデジタル画像しか持っていないという方でも、写真制作が体験できます。みなさんもぜひ一度ご参加ください。
「モノクロ銀塩プリントワークショップ」
実施日:2018年11月24日(土)
参加者:全2コース 計22名
暗室機材の操作方法の説明。
参加者が理想とするプリントになるように、スタッフがアドバイス。
]]>まずは、対話型作品鑑賞のウオーミングアップとして当館オリジナルゲームを体験。
ボランティアスタッフが提示した言葉カードに最もぴったりくる色と形のカードを一人一人が選びましたが、別々のグループで活動していた二人の先生が違う言葉カードに対応するものとして形も色も全く同じカードを選びました。
一人の先生は「ドキドキする」にぴったりくるとして選び、色と形が心臓のドキドキにイメージが近いからだと話していました。
別の先生は「イライラする」にぴったりくるものとして選び、怒っている気持ちを表しているように見えるからだと話していました。
対話型作品鑑賞では、スライドを用いて台所を撮った作品を鑑賞しました。
先生方は写真の中の哺乳瓶や醬油入れなど細かい部分もしっかり観察して、
「哺乳瓶があるので、赤ちゃんがいる家庭で育児が忙しく、台所を片付けたいけれど時間がないようだ」という発言や、ポットのデザインやまな板の厚さなどの特徴から、写真が撮られた時代が昭和だと気づいた人もいました。
フォトグラムでは、各自が持参したものを使って、六つ切りとキャビネサイズの作品を作りました。
初めて暗室に入り、現像を体験し、先生方には新鮮な体験だったようです。
最後は当館スタッフが先生方からのスクールプログラムについての質問に答えました。
中野区図工研究会(教員研修)
実施日:2018年11月14日(水)
参加者:計14人
当館オリジナルゲームを体験する
段ボールカメラを被ると、驚きの視界が開けます
]]>コマ撮りアニメーション制作と、「TOPコレクション たのしむ、まなぶ 夢のかけら」展の鑑賞を行いました。
白金の丘小学校は毎年、学校からここまで電車やバスを使わずに歩いてやってきてくれます。
コマ撮りアニメーション制作では、自分たちの手や顔など自分の体を画面の中に取り込んだり、ハサミをモチーフにして「鬼ごっこ」のアニメーションを作ったり、ビー玉を並べて蛇のように動かしたりと、それぞれ工夫を凝らした作品をむなどして、楽しみながら制作しました。
鑑賞では、渋谷のスクランブル交差点をとらえた写真作品を鑑賞したとき、これは実際のものを撮ったのか、ジオラマを撮ったものなのかという二つに考えが分かれました。
ジオラマを撮ったと思った人は木の緑色が鮮やかすぎるので作り物みたい、人や車などの質感が本物ではないみたいと言ってくれました。また、実際の風景を撮ったと思った人は、歩いている人の足元に影があるという意見や、いつもテレビの中継で見ている渋谷の交差点と同じだからと言う人もいました。
ほかにも、この作品はインスタ映えするという意見や、写真が上手な人は全体にピントを合わせて撮るものだと思っていたという意見など、いろいろな視点からの意見があがり、時間はあっという間に過ぎました。
スクールプログラム
港区立白金の丘小学校
実施日:2018年10月2日(火)4日(木)
参加者:5年生 計100名
自分の手をアニメーションモチーフのひとつに
本城直季の作品を鑑賞する
]]>今回の研修内容は、ボランティアとして活動する際のルールや注意事項などのガイダンスと、対話型作品鑑賞プログラムの体験です。
対話型作品鑑賞プログラムでは、実際に体験してもらうだけでなく、このプログラムが子供の成長にどのような関連があるのかや、どんな力を伸ばすことに役立つのかを詳しく説明し、スクールプログラムの仕組みや意義、さらにボランティア活動への理解を深めてもらいました。
平成30年度新規ボランティア研修会
実施日:2018年9月30日(日)
参加者:計14人
教育普及担当学芸員よりオリジナルゲームの意義を説明する
ボランティアとして活動する際の注意事項についてのレクチャー
]]>研修内容は驚き盤、フォトグラム、コマ撮りアニメーション、モノクロ銀塩プリントなど、
当館でのパブリックプログラムとスクールプログラムの中の定番となっている制作プログラムを体験しながら、さらにボランティアとして活動する場合に注意する点についての講習を受けました。
暗室制作プログラムでは、機材準備、薬品準備や使用マナーなどを詳しく説明しました。
特に暗室に出入りする際に、外の光が暗室内に入らないようにするため、必ず遮光カーテンを開ける前に、カーテンの向こうにいる人声を掛けてきちんと確認してから出入りすることの注意を伝えました。
また、教育普及担当職員より参加者サポートに際しての注意事項の説明がありました。
例えば、子供たちをほめる言葉として「うまい」や「上手」は使わないようにすること、驚き盤を割り箸に画鋲で留めるときにケガをしないように気を付けること、コマ撮りアニメーションの制作はローテーションしやすいように立って行うようにすることなどです。
これらは細かいことなのですが、注意しなければ、プログラムをきちんと進行することができない場合があるのです。
今回の研修のサポートスタッフとして活動した先輩ボランティアの中で、一番ボランティア歴の長いスタッフは15年間活動しています。
そんなベテランの先輩方に導かれて、新規ボランティアの皆さんも安心して研修を受けることができたようです。
一日がかりで多彩なプログラムを体験する、忙しいスケジュールでしたが、たくさん学んで充実した一日となりました。
平成30年度新規ボランティア研修会
実施日:2018年9月15日(日)・18日(火)
参加者:計14人
先輩ボランティアのフォローの元でコマ撮りアニメーションの制作を体験
暗室作業体験でスタッフがプリントアドバイス
]]>8月22日には、当館にてプログラムを行いました。
プログラムには、都内小中高等学校の図工・美術の先生を中心に、計21名が参加しました。
内容は、美術館概要の説明とスクールプログラムの紹介、フォトグラム制作と、対話型作品鑑賞です。
フォトグラムでは、印画紙や引き伸ばし機などの暗室用品に触るのも、暗室に入るのも初めてという方もいらっしゃいました。そして現像液の中に浸した印画紙から現れた画像を見て、先生方は驚いたり喜んだりしながらも、子供たちが体験したらどう反応するのかについて考えていました。
また、当館オリジナルゲームでは、このゲームによるアイスブレイク効果などを実際に体験しながら、子供たちの思考力や発言力を促す方法について考えました。
スクールプログラムは、美術館の資源を活用することによってこそ実現できる、子供たちに贈る芸術体験です。学校が美術館と連携することによって、子供たちにどのような芸術体験の機会をもたらすことができるか、「生きる力」を育てるために当館のプログラムはどのような効果があるのかについて、美術館と先生方とが、ともに考える時間となりました。
学校と文化施設をつなぐ ティーチャーズプログラム2018
実施日:2018年8月22日(水)
参加者:都内小中高 学校教員 計21名
会場全景
対話型鑑賞の様子
]]>今回は、「TOPコレクション イントゥ・ザ・ピクチャーズ」展にあわせて開催しました。
先ずは当館オリジナルの「色と形と言葉のゲーム」でアイスブレイクをしました。
選んだカードはみんなそれぞれ異なりました。
特に子供たちと大人では考えが大きく違っていて、話はとても盛り上がりました。
ゲームの後はいよいよ展示室へ。
参加者は子供チームと大人チームに分かれ、「TOPコレクション イントゥ・ザ・ピクチャーズ」展の鑑賞を行いました。
大人チームは家族五人が並んで座っている作品を鑑賞し、人物の服装や部屋の内装、家電などから、写真を撮った年代を推測しました。子供チームはエスカレーターに乗った人々の作品を見て、エスカレーターで座ることは良いことではないので、その人に「危ないよ」と教えてあげたいのだと言ってくれました。
作品制作では、「イントゥ・ザ・ピクチャーズ」にちなんで、動物のシルエットとデジタルネガを使って風景の中に自分の分身が入り込んだ写真を作りました。
それぞれが気に入ったネガと動物シルエットを選んで、親子がペアになって、暗室で作品を作りました。
野球が大好きなお父さんは、野球場の写真のホームベースのところに象のシルエットを置いて、
鉄壁の守備の様子を表現していて、好評でした。
作品を見て楽しくて話をしたり、初めて入った暗室で作品を作ったり、皆さんとても楽しい時間を過ごしました。
イントゥ・ザ・ピクチャーズ展関連「じっくり見たり、つくったりしよう!」
日 時:2018年7月28日(土)・29日(日) 10:30〜12:30
参加者:小学生とその保護者 計15組(30名)
左:好きな動物シルエットを選びます
右:出来上がったプリントを鑑賞します。
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フォトグラムでは、各自が持参した素材や、当館にある様々な素材を並べて、二枚の作品を作りました。おはじきやビー玉を透明なコップに入れて印画紙の上に置き、諧調変化が豊かな作品ができました。初めて入った暗室で、暗いセーフライトの下、現像液に浸した印画紙に画像が浮かびあがると、生徒の皆さんはとても楽しそうでした。
また、当館オリジナルのゲームでは、「あつい」という言葉にぴったりだと思うかたちを選ぶと一つのグループの三人が同じカードを選んでいました。鑑賞では、皆さんの観察力がとても鋭く、木村伊兵衛の《浅草・花屋敷》を見たチームは、人物の服装や看板などを細かく観察していました。
猛暑の季節ですが、美術館で新たな体験をして、楽しい思い出ができました。
スクールプログラム
狛江市立狛江第四中学校
実施日:2018年7月25日(水)
参加者:美術部 計13名
左: おはじきやビー玉をガラスコップに入れて作品を作る
右: 木村伊兵衛の作品を鑑賞する
]]>学年ごとに分かれてコマ撮りアニメーション制作と、「TOPコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ」展の鑑賞を行いました。コマ撮りアニメーションでは、子供たちが4つのグループに分かれて、グループ内で順番に撮影役とモチーフ役を担当します。当館が用意しておいた様々な素材を、発想力を生かして工夫をこらして並べて、四秒程度のアニメーションを作りました。
中でも、特に6年生のグループは、ハサミたちのバトルシーンを含んだ「くずれる」をテーマにした作品を作り、好評でした。また、鑑賞では、当館オリジナルのゲームでウォーミングアップをした後、いよいよ展示室へ。
みんなで気づいたことなどを話し合いました。
エスカレーターを撮した作品では、画面の中をすみずみまで観察し、そのエスカレーターの進行方法がいったいどちらなのか、対話はとても盛り上がって、いろいろと想像をふくらませました。
スクールプログラム
品川区立浅間台小学校
実施日:2018年7月4日(水)
参加者:5年生23名 6年生32名 計55名
左:コマ撮りアニメーションの作り方の説明
右:子供たちが抽選したキーワードによりコマ撮りアニメーションを作る
左:当館オリジナルゲームでウォーミングアップ
右: 「TOPコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ」展の鑑賞
左:スタッフが子供たちと一緒に作品を鑑賞。
右: 子供たちが作品を鑑賞しながら見つけたことや思ったことを発表。
スタッフが子供たちと一緒に作品を鑑賞。
]]>今回は「イントゥ・ザ・ピクチャーズ」展に合わせて開催しました。
赤ちゃんを連れた方や手話で話す方など、さまざまな背景をもつ方々と一緒に展示室をめぐりました。
今年のコレクション展は、「たのしむ、まなぶ」をテーマとしており、来館者同士の対話を重視していて、このプログラムもコミュニケーションが一つの大きな特徴です。
美術館では静かにしなくてはいけないというこれまでのイメージから飛び出して、お互いが交流し、対話して展覧会を楽しもうというものです。
自分の理解で作品を述べることも、他の人の話から作品を想像することも、言葉で作品を伝えることは難しそうですが、皆さんの自由な発想で楽しい見方がいっぱい出てきました。参加者全員でコミュニケーションをとりながら鑑賞することによって、様々な深まりがみられました。
「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ 春期」
スタッフ:視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ
実施日:2018年6月3日、24日(日)
参加者:計13名
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このワークショップは18年ほど前から続いている定番のプログラムです。以前は参加者の皆さんにモノクロネガフィルムを持参していただいていましたが、昨今ではモノクロあるいはカラーネガフィルム、デジタル画像での参加というふうに多様化しています。
デジタルカメラやスマートフォンで最近撮った写真を焼く方、昔撮った古いネガを新たにプリントする方、スタイルは様々ですが、現像液に浸した時に、画像が浮かび上がってくる面白さ、ワクワク感はみんな共通。初めての方も久しぶりの方も暗室体験を満喫していただきました。そして「焼きこみ」などレベルが高そうな技術に挑戦した方も凄く達成感を持ったようです。
「モノクロ銀塩プリントワークショップ」
実施日:2018年6月16日(土)、6月23日(土)
参加者:全4コース 計36名
段階露光の説明。
スタッフが、参加者が理想とするプリントになるようにアドバイス。
ふりかえり。
]]>クラスごとにフォトグラム制作と、「TOPコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ」展の鑑賞を行いました。
フォトグラムでは、各々が持ってきたさまざまな身の回りにある素材を、工夫をこらして並べて、暗室での本格的な写真の現像を体験しました。また、鑑賞では、当館オリジナルのゲームでウォーミングアップをした後、いよいよ展示室へ。みんなで気づいたことなどを話し合いました。クリスマスツリーのある部屋を写した作品では、展示作品をすみずみまで観察し、一体どんな人が暮らしているのか、家族構成はどんな感じなのかなど、いろいろと想像をふくらませました。
スクールプログラム
港区立御田小学校
実施日:2018年6月1日(金)
参加者:4年生 計63名
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今回は練馬区立旭丘中学校に訪問し、特別支援学級の1〜3年生と一緒に青写真のプログラムを行いました。
青写真は太陽の光で印画紙を感光させるため、お天気によって作品の出来がかなり変わってしまいます。
10月は夏に比べて日光も弱まり、また不安定なお天気の日が多いのでやや心配でしたが、当日はすっきり晴れてひと安心でした。
まずは、さまざまな素材を用いて印画紙の上にレイアウト。
毛糸やリボン、羽根、クリップといった身の回りにある素材を、思い思いの場所に工夫しながら配置していきます。
その後は、普段立ち入ることのないという屋上に出て、青空の下で露光作業。
印画紙の色が少しずつ変わっていく様子に、じっくり見入る生徒も見受けられました。
露光が完了したら、印画紙を水洗、オキシドールで漂白です。
鮮やかな青色が現れると、歓声が上がりました。
最後には、出来上がった作品を前に、みんなのこだわりポイントを発表。
それぞれの思いの詰まった作品が完成しました。
出張授業は、美術館だけではなく学校側の事前の準備も多く、先生も大変ではありますが、学校と美術館が連携して素敵な授業になりました。
スクールプログラム
練馬区立旭丘中学校(出張授業)
実施日:2017年10月5日(木)
参加者:特別支援学級 計14名
印画紙に材料を並べます
屋上で日光にあてて露光します
水洗し、オキシドールに浸すと、深みのあるブルーに変化。
個性溢れる作品ができあがりました。
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「エクスパンデッド・シネマ再考」展の関連プログラム、「8ミリ自家現像ワークショップ」を開催しました。
このワークショップでは、8ミリフィルムで参加者が映像を撮影し、自分で現像、編集をおこない、映写できるまでを体験するワークショップです。
たくさんの申込みのなかから幸運にも参加が実現したのは、どなたも映像制作に関心が高く、わざわざこのために四国からいらした方や、たまたま海外からの一時帰国中の方まで、全国、様々な場所から集まった方々です。
講師は石川亮さんと郷田真理子さんのお二人。
講師によるレクチャーのあと、思い思いの映像を撮影。
1枚1枚絵を描いてコマ撮りしたり、別の参加者に出演してもらって撮影したりと、それぞれの個性が際立ちます。
2日目、いよいよ現像です。
ダークバッグのなかで手探りにフィルムを取り出して現像タンクに入れ、様々な薬品をタンクに入れて現像し、その後フィルムに光を当てて露光し、再び現像します。
編集作業では、使用したい部分をカットして繋げ、さらに、フィルムに傷をつけたり着色して効果を出す人も。
上映展示は一般公開し、当日展覧会を見るために来館したお客様にも楽しんでいただきました。
朝から夜まで盛りだくさんで、参加者の皆さんにとって初めての作業ばかりのワークショップでしたが、全員が無事に上映することができました。
「『エクスパンデッド・シネマ再考』展関連 8ミリ自家現像ワークショップ」
講 師:石川亮(東京国立近代美術館フィルムセンター技術員、映像作家)
郷田真理子(フィルム技術者、株式会社IMAGICAウエスト)
日 時:2017年9月23日(土・祝)〜24日(日) 10:15〜19:00
参加者:一般大人 9名
講師の石川亮氏と郷田真理子氏
撮影中。
ダークバッグの中でフィルムを出します。
1回目の現像後、フィルムに光を当てて第2露光。
現像中の様子。
8ミリフィルムに映像が映っているのが確認できます。
編集作業。カットして貼り合わせます。
完成作の上映展示。
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9月3日に「コミュニケーションと孤独」展に合わせて、夏期の回が開催されました。
今回は、春期展の時よりも大人数での開催となり、
アイメイトを連れた方や手話を話す方などさまざまな背景をもつ方々と、
そして介助者の方や手話通訳の方々も、一緒に展示室をめぐりました。
今回の展覧会は、コミュニケーションをテーマとしていますが、
このプログラムもコミュニケーションが一つの大きな特徴です。
「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」のスタッフの
見えない人の木下さんと見える人の鄭(てい)さんがナビゲーターのAチームと
見えない人の中川さんと見える人の林さんがナビゲートするBチームに分かれて、
チームの人々でコミュニケーションをとりながら鑑賞することによって、様々な深まりがみられました。
「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ 夏期」
スタッフ:視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ
実施日:2017年9月3日(日)
参加者:計11名
撮影:中島佑輔
撮影:中島佑輔
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今回は、「TOPコレクション コミュニケーションと孤独ー平成をスクロールする 夏期」展にあわせて開催しました。
当日、プログラム開始前にまずは親子で記念撮影。
プログラムが始まると、まずは「色とかたちと言葉のゲーム」で大人も子供も自由に思ったことを話し合いました。
その後、3Fの展示室に移動し、作品を鑑賞。
19日は大人も子供もみんな同じグループで鑑賞し、20日は大人のチームと子供のチームに分かれて鑑賞しました。
一見同じように見える北島敬三の作品の前で、違いを探したり、なぜこのような写真を撮影したのかを考えたり、津田隆志の50枚の写真から、一番気になる1点をさがしたり、思ったことを話しながらじっくり作品を鑑賞しました。
スタジオに戻って、作品づくりでは、親子の記念写真でモノクロ銀塩プリントを体験しました。
参加者が展示室にいる間に、当館スタッフが、親子で記念撮影した画像データからデジタルネガをつくっておきました。
それを使って、親子で力を合わせて暗室での現像作業をおこないました。
まずは段階露光をおこなって適正な秒数を決め、いよいよ本番です。
自分の写った写真となると、みんな知らず知らずに力がこもった様子でした。
次回は、「TOPコレクション シンクロニシティ」展に合わせて、10月と11月に開催します。
詳しくはこちら
http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2776.html
* * *
「じっくり見たり、つくったりしよう! 夏期」
日 時:2017年8月19日(土)、20日(日) 10:30〜13:00
参加者:小学生とその保護者10組
親子で写真撮影。
年齢に関係なく楽しめるゲーム。
親子で鑑賞。
子供だけで鑑賞。
初めて見るデジタルネガ。
初めて入る暗室での初めての現像体験。
写真が完成!
7月のおわりに、
東京都歴史文化財団が主催する「学校と文化施設をつなぐティーチャーズプログラム2017」を実施しました。
これは、財団が管理運営する各文化施設の学校向けプログラムを体験してもらうというもの。
当館には、小、中、高等学校、特別支援学校などの先生方14名が参加しました。
最初に東京都写真美術館のスクールプログラムについて解説をしたあと、「フォトグラム作り」と展示室での「対話による作品鑑賞」を体験してもらいました。
自主的に参加することを希望されただけあって、どのプログラムにも熱心に取り組んでいらっしゃいました。
学校の児童・生徒のみなさんと来館してくれることを期待しています!
*当日の詳しい様子は、以下のサイトでもご覧いただけます。
Tokyo Art Navigation イベント・レポート
前編: http://tokyoartnavi.jp/event_report/index049.php
後編: http://tokyoartnavi.jp/event_report/index050.php
* * *
「学校と文化施設をつなぐティーチャーズプログラム2017」
日 時:2017年7月28日(金)13:30-17:00
会 場:東京都写真美術館
参加者:小・中・高等学校、特別支援学校等の教員 14人
主 催:公益財団法人 東京都歴史文化財団
後 援:東京都教育委員会
一般財団法人東京私立中学高等学校協会
東京私立初等学校協会
スクールプログラムについて説明
フォトグラム作り
色とかたちと言葉のゲーム
展示室で対話による作品鑑賞の体験
]]>「じっくり見たり、つくったりしよう!」の参加者を募集中です。
TOPコレクション展を対話しながら鑑賞し、暗室でモノクロ写真をつくります。
今回制作するのは、「世界でたった一枚しかない写真」。
どんな写真なのかは、参加してみてのお楽しみです。
開催日は2日間。
Aコースは8月19日(土)、Bコースは8月20日(日)。
時間は各コースともに10:30-13:00。
小学生とその保護者、2人1組で申込みできます。
低学年のお子さんでも大丈夫。
詳しくはこちらから↓
http://topmuseum.jp/contents/workshop/details-2904.html
夏休みの親子の思い出に。夏休みの宿題に。美術館デビューにもどうぞ。
ご応募お待ちしております。
#親子ワークショップ #小学生 #夏休み宿題 #自由研究
#こどもワークショップ #夏休み体験 #宿題 #美術館ワークショップ
#美術館親子 #図工 #工作 #アート #現像体験 #恵比寿ガーデンプレイス
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当館にも毎年4年生が来館してくれます。
学校から美術館までは、路線バス2台にクラスごとに分乗して移動します。
開館と同時に来館した子供達は、
お弁当持参なので、お昼前の前半とお昼後の後半の時間に、
クラスごとに対話による作品鑑賞で「TOPコレクション いま、ここにいる」展を見たり、
フォトグラム制作体験をしました。
ひとつひとつの作品をじっくり鑑賞し、いくら時間があっても足りない様子の子供達。
先生が用意したワークシートに絵や文章をたくさん書いていました。
日曜日の朝、集まったのは、小学生のこどもたちとお父さん、お母さんたち。
大人も子供も一緒にウォーミングアップのゲームをおこなってから、
3F展示室で「TOPコレクション いま、ここにいるー平成をスクロールする 春期」展を
大人チームと子供チームに分かれて話し合いながら鑑賞しました。
スタジオに戻った後は、暗室での簡単な現像を、親子それぞれが体験し、
素敵なモノクロ写真が完成しました。
このプログラムはTOPコレクション展の開催に合わせて、8月、11月にも開催予定です。
次回は、8月19日(土)、20日(日)に、「TOPコレクション コミュニケーションと孤独ー平成をスクロールする 夏期」展をじっくり見たりつくったりするプログラムをおこないます。
「じっくり見たり、つくったりしよう! 春期」
実施日:2017年6月25日(日)、7月2日(日)
参加者:計18組(親子2人1組)
この日、来館してくれたのは、5年生と6年生。
フォトグラムの制作とTOPコレクション「いま、ここにいる」展を対話をしながら鑑賞しました。
フォトグラムでは各自が持参した材料を使って個性のある作品をつくりました。
鑑賞では、釣り人を捉えた作品をみながら、写真に写った瞬間のその後の展開を想像したりしました。
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「モノクロ銀塩プリントワークショップ」
実施日:2017年6月17日(土)、6月24日(土)
参加者:全4コース 計37名
現像中。暗い光の下で、画像が浮かび上がってきます。
写真の明るさやコントラストを調整して、好みのプリントに仕上げていきます。
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当館で開催するのは今回が初めてです。
視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ(代表・林健太氏)という、ワークショップ名と同じ名前の団体の林さん、鄭さん、木下さんにいらしていただき、見える人の鄭さんと見えない人の木下さんによるナビゲーターコンビと共に、「TOPコレクション いま、ここにいるー平成をスクロールする 春期」展を鑑賞しました。参加者は、見える人、見えない人、そして様々な背景を持つみなさん。
自己紹介をしてリラックスした雰囲気のなか、展示室へ移動し、松江泰治作品、安村崇作品、佐内正史作品を鑑賞しました。話し合いながらみることで、参加者の日常との違いを作品のあちこちから見つけたり、普段何となく見えていることにしてしまっているけれど、実はよく見ていなかったことに気づいたり。
ある参加者は「こんな写真を撮る作家さんがどんな人なのか、会ってみたい」と話していました。
このプログラムは、TOPコレクションの夏期、秋期でも開催予定です。
「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」
実施日:2017年5月28日(日)、6月4日(日)
参加者:計13名
撮影:中島佑輔(3枚とも)
]]>19世紀を代表する印画紙・鶏卵紙のプリントワークショップを開催しました。
古典技法のワークショップは例年人気が高く、今回も定員を上回るご応募をいただき、
2日間で35名の方にご参加いただきました。
今回は、制作だけでなく、19世紀の写真方式で作品を発表されている
エバレット・ブラウンさんをゲストにお迎えし、古典技法による作例を見ながらの講義もありました。
講師のエバレット・ブラウン氏
卵白紙に硝酸銀溶液を塗布してつくった印画紙に、デジタルネガフィルムを載せて、紫外線露光機で焼き付けます
オリジナルの鶏卵紙プリントができました
当館の暗室体験ワークショップやアニメーション・映像のワークショップなどで参加者の手助けをしたり、学校の授業で美術館に来館した児童、生徒の制作活動や、対話による作品鑑賞の活動のお手伝いをしていただきます。
本格的に写真を撮ったり暗室の経験のない方でも、ボランティアとして活動を始めていただく前にきちんと研修を行いますので、大丈夫です。
詳しい応募方法はこちらをご覧ください。申込締切は4月14日(金)です。
ご応募お待ちしております。
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