スクールプログラム:旭出学園(特別支援学校)高等部 (2023年3月1日)

 東京都写真美術館の「おどろき盤」教材には、あらかじめ描かれた丸や三角などの図形に色を塗ることでアニメーションを作ることができる「ぬり絵」タイプの円盤があります。「おどろき盤」の魅力は、動画として円盤を回してみて面白い効果が生まれたかどうかがポイントなので、実はキレイに「ぬり絵」を仕上げることが目的ではありません。一見描きなぐったような、「ぬり絵」として「上手」ではない絵の方が、キレイに仕上げた「ぬり絵」よりも生き生きとしたアニメーションになることがよくあります。

 

 3月の初めに私たちは「手作りアニメーション体験:おどろき盤」の出前授業を特別支援学校で実施しました。参加者は高校1年から3年までの22名。自分が描いたものがどんなアニメーションになるか、みんな興味津々で、色とりどりの「おどろき盤」を制作しました。多くの生徒の方は「ぬり絵」タイプの円盤を用いて描きました。カラーペンで枠からはみだすような元気なタッチで描いた「おどろき盤」は、回して見ると鮮やかな虹色に見えたり、力強いペンの描きぶりが躍動的なリズム感を生み出していたり、とても楽しいものになりました。

 

 円盤上の細長い小さな隙間(スリット)越しに、鏡に映った絵を見るというアナログな鑑賞方法ではハッキリと動画の効果がわかりにくい場合には、Webアプリ「マジカループ」を用いて円盤を撮影します。「マジカループ」には「おどろき盤」のデジタル画像を回転再生する機能が備わっているため、授業での活用に便利です。今回の授業でも「マジカループ」で撮影・再生する方法を大いに活用しました。授業の終わりには、教室の前に用意されたスクリーンに生徒の皆さん全員の作品(デジタル動画)を順番に映し出して、発表会を行いました。出来上がった作品をみんなで見てみることで、体験を共有できたことも大変良かったです。生徒のみなさんが興味をもって参加してくれたことで充実した出前授業となりました。

 

 

スクールプログラム:都立田園調布特別支援学校 (2023年2月24日)

「手作りアニメーション体験:おどろき盤」の出前授業を実施しました。東京都写真美術館の「おどろき盤」教材は円盤の上に好きな絵や図形を描いてオリジナルのアニメーション作品を作ることができます。1コマ1コマ少しずつ変化していく絵を自由に描いて制作することもできますし、またあらかじめ描かれた丸や三角などの図形に色を塗ることでも、面白い作品制作ができるようになっています。

 

今回、出来上がった「おどろき盤」作品はとてもバラエティ豊かでした。イルカのジャンプを生き生きと描いた作品や、前もって用意した精密な絵コンテを元にした本格的な作品もありました。「おどろき盤」では基本図形の組み合わせでも動きの面白さを表現できるので、「ぬり絵」タイプを用いて色とりどりに色を付けたり、好きな形やキャラクターを描き加えたりして、シンプルで楽しい作品も出来上がりました。特別支援学校高等部3年生の生徒のみなさんは、それぞれ個々の能力や興味に応じて「おどろき盤」に積極的に取り組んでくださいました。

 

描いた作品は鏡に映して回して見る方法とともに、今回もタブレット端末を用意し、Webアプリ「マジカループ」で撮影する方法も並行して行いました。授業の終わりには舞台上のスクリーンにそれぞれの作品(デジタル動画)を大きく映し出して、小さな発表会を行いました。体育館の広い空間での特別授業。卒業を間近にひかえた皆さんの特別な時間のお手伝いが、ほんの少しですが、私たちとしても出来てよかったです。

 

 

 

スクールプログラム:渋谷区立加計塚小学校3ー6年生 (2021年2月26日、3月1日、16日、18日、19日)

 渋谷区立加計塚小学校は、当館の所在地である恵比寿ガーデンプレイスに隣接する公立小学校です。この学校にとって当館は歩いて行ける距離にある身近な美術館。当館では同校との図工の連携授業をこれまで15年以上にわたって続けてきました。毎年3年生以上の複数の学年で、主に三学期に学年ごとに制作活動の内容を変えて、スクールプログラムを実施しています。児童の皆さんの中には、写真やアニメーションの授業を恒例行事として楽しみにしてくれている人もいるのではないでしょうか。

 

 昨年度(2020年度)はコロナ禍の状況もあることから、美術館に来館してもらうことはできず、出前授業によって3年生から6年生までの全クラスを対象に5日間、合計8回もの授業実施となりました。内容としては、おどろき盤(3年生)、青写真(4年生、5年生、6年生)です。 

 

おどろき盤の制作では、19世紀の作例コピーを見本として、どうしたら絵が動いてみえるようになるか、鑑賞方法自体を自分で発見することで興味を持ってもらい、次に思い思いの絵柄や図形を描くことでアニメーションの仕組みを体験してもらいました。

 

青写真の制作では、どの日も幸い天候に恵まれ、無事に太陽の下で焼き付けができました。光(紫外線)をあてると、印画紙の色がどんどん変化していくことも、みなさんに注意深く観察してもらいました。素材によって光の通し方が異なることもあって、青写真でのフォトグラム制作では、最初に思った通りに作品を作ることはなかなかできませんが、そうした意外性もまた、この技法の面白さだと実感してもらえたのではないでしょうか。

 

児童のみなさんにとっては、一年に一度の東京都写真美術館の授業。多くの人たちが、一年前、二年前にどんなものを作ったか、美術館でどんな体験をしたかを覚えていてくれたのも、私たちとしては大変うれしい体験でした。

 

※実施した内容は2020年度のものです。今年度のスクールプログラムの実施内容については、当館ホームページをご確認ください。

 

東京都写真美術館スクールプログラム2021年9月〜2021年12月

http://topmuseum.jp/contents/pages/school_index.html

 

 

「おどろき盤とは?」まずは19世紀の絵柄のレプリカを体験

 

おどろき盤に思い思いの絵を描きます

 

青写真印画紙の上に、素材をならべています

 

太陽の光で青写真を焼き付けています

 

スクールプログラム:港区立白金の丘小学校5年生 (2020年11月17日、19日)

 港区立白金の丘小学校5年生の子供たちが2クラスずつ、二日間に分かれて来館しました。今年度はコロナ禍のために、例年のように展示室での鑑賞体験やスタジオでの制作体験プログラムを行うことはできず、「石元泰博 生命体としての都市」展、「TOPコレクション 琉球弧の写真」展の二つの展覧会を、鑑賞ワークシートを用いて自由に見て回る形式となりました。

 ワークシートの内容は、それぞれの展示で気に入った作品を一点ずつ選び、その作品の大まかなスケッチと作品から感じられる物語を想像して書くもので、図工の先生の発案によるものです。

 感染予防のため、会場内では「しゃべらない」。窮屈ですが、仕方ないことです。でもクラスの友達がどの作品をお気に入りに選んだのか、気になるものです。

「・・・(あの子はあれを選んだのか。)」

というふうに、時々友達の姿を横目に見つつ、気に入った一点の前で画面を真剣に見入る子供たちの姿が印象的でした。

 

スクールプログラム

港区立白金の丘小学校

実施日:2020年11月17日(火)、19日(木)

参加者:5年生 127名

 

 

 

スクールプログラム:東村山市立南台小学校4年生(2020年10月29日)/5年生(2020年11月12日、13日)

 

 東京都写真美術館は恵比寿にあるので、学校によっては美術館と学校との距離の問題で、なかなか図工の時間などを利用しての来館がかなわないこともあります。しかもコロナ禍の今となっては、校外学習を実施しない学校も多く、さらに来館についてのハードルが高くなってきています。そうしたなかでも、先生方はさまざまな工夫をして、美術館との交流授業を考えています。東村山市立南台小学校では、今年度、2つの学年でそれぞれ違う方法で授業をおこないました。

 ひとつは4年生のおどろき盤制作。これは校外学習でも出前授業でもなく、オンラインで行いました。美術館スタッフは写真美術館のスタジオにいて、そこからパソコンを通して、学校の図工室とつなぎました。あらかじめ学校に送っておいた19世紀のおどろき盤のレプリカを子供たちが手にしながら、そこに描かれたシマウマはどうやったら走っているように見えるのかを、パソコン越しの対話を通して考えながら、仕組みを発見しました。実際の制作は先生が図工室でアドバイスしながらおこない、最後に作ってみた感想などを共有しました。

 あとから送られてきた感想には「一番おもしろかったところは、(おどろき盤の)穴をのぞくだけで違う世界に行けたような気持になったところです。」「むずかしかったけど最後うまくできた。先生とみんなのおどろき盤を見られて楽しかった。」など、素敵な感想がいっぱいありました。

 5年生は、当館から職員が学校に訪問し、「写真ってなあに」というテーマのもとに、写真作品をプロジェクターで教室に投影し対話型鑑賞を行いました。じつは図工担当の河野先生は、毎年、印画紙作りからの青写真制作や、段ボールでのピンホールカメラ制作などを、5年生の授業でおこなっていました。そのため、先生がおこなう写真に関わる制作と、当館による写真作品の対話型鑑賞で、5年生の1年間のうちに、制作と鑑賞の両面からとことん写真の楽しさと仕組みを知ることができる流れになっています。

「色と形と言葉のゲーム」でウォーミングアップしたあとで、当館所蔵作品を2グループに分かれて2点鑑賞しましたが、ゲームでも鑑賞でも、たくさん発見し、想像し、様々な意見が飛び交い、時間がいくらあっても作品を見飽きないようでした。

 子供たちからは「影がこっちに来ているからここは窓があるのかな?などと、写真の外を写真の中から考えることができておもしろかった。」「今は色がある写真が多いので、白黒の写真は初めて見た。もし交流授業をしていなかったら、白黒の写真や不思議な写真を見られなかったと思う。交流できてよかった。」「自分で気づかなかったことも友だちが気づいていて、写真からいろいろなことを考えるのも楽しかった。」と、様々な発見ができたことがうかがえる感想をたくさんいただきました。

 

 

スクールプログラム

東村山市立南台小学校 

実施日:2020年10月29日(木)

参加者:4年生 58名

 

実施日:2020年11月12日(木)、13日(金)

参加者:5年生 59名

 

おどろき盤の覗き方を発見してびっくり。(4年生)

 

長い時間見ていても、次から次へと新しい発見が飛び出します。(5年生)

令和最初の年の教育普及プログラムをふりかえる−4 スクールプログラム

当館では、学校団体向けのスクールプログラムで、対話を交えながら作品を鑑賞する対話型作品鑑賞を実施しています。制作と鑑賞を組み合わせて体験いただいていますが、なかでも実物の作品を前にして行う鑑賞は、美術館ならではのこと。毎年多数の学校団体に活用いただいている人気プログラムです。

 10〜20人程度のグループに分かれたら、まずは、じっくり作品を観察するところからスタート。その後、気づいたことや気になったことを話してもらいます。

ここで、「TOPコレクション イメージを読む 写真の時間」展開催中に、川内倫子の〈Illuminance〉を鑑賞したときのことをご紹介しましょう。

はじめは、「人がいる」「光が階段に伸びている」といった画面上の目についたものに関する発言から、徐々に、「階段は下から上に向かって伸びている感じがする」「足がぶれているから階段を走っている人がいて、エネルギーを感じる」「夕方だと思う」「光の強さから考えると、昼なのかもしれない」・・・などに話が発展していきます。みんなですみずみまで作品を観察し、さまざまな角度からの対話を通して多様な気づきを共有していくことで、例えば写真を撮影した時間や作家の立ち位置に思いをめぐらせたり、最終的には、作家の制作意図に迫るほどの鋭い意見が出ることもしばしばです。

 既に用意された答えに誰よりも早く到達するのではなく、自分の頭で主体的に考え、借り物ではない自らの言葉で表現すること。数学などの教科とは違って、ある明確な答えを持たない「芸術」だからこその面白さなのではないでしょうか。

 「写真」という身近なメディアを用いた作品鑑賞は、絵画や彫刻などのジャンルと比べて、誰もが撮影経験があるため親しみやすいもの。また、複数の人でともに鑑賞し、さまざまな見方を共有すれば、さらに多くの気づきが、作品を、そしての子供たちの「生きる力」を輝かせるはずです。

 

川内倫子〈Illuminance〉を鑑賞。どんどん手が挙がります

スクールプログラム:渋谷区立加計塚小学校3年生(2018年12月11日)

渋谷区立加計塚小学校の3年生の子供たちが来館し、クラスごとに二つのチームに分かれて、驚き盤の制作と「建築 × 写真 ここのみに在る光」展の対話型鑑賞を行いました。

ベッヒャー夫妻が撮った9枚の家の作品の鑑賞では、それぞれの家のデザインの特徴をよく観察していて、外壁のデザインが、LやTを逆さまにした形などのアルファベットに見えるという意見がありました。

また、各自が9点の作品の中から一番好きな家を選ぶと、煙突がある家が一番人気でした。外に階段がある家が面白そう、住みやすそうに見えるなど、様々な意見が交わされました。

 

スクールプログラム

渋谷区立加計塚小学校

実施日:2018年12月11日(火)

参加者:3年生 計40名

 

当館オリジナルゲームでウォーミングアップ。

 

ベッヒャー夫妻の作品を鑑賞する。

スクールプログラム:渋谷区立加計塚小学校4年生(2018年12月6日)

渋谷区立加計塚小学校の4年生の子供たちが来館し、クラスごとに二つのチームに分かれて、コマ撮りアニメーション制作と「建築 × 写真 ここのみに在る光」展の鑑賞を行いました。

この学校は毎年来館し、子供たちは複数の体験を通じて写真や映像への体験と理解を段々深めていきます。この日来館したのは4年生。昨年、3年生の時に初めて当館に来館して「驚き盤」を体験しました。

コマ撮りアニメーション制作では、二つのハサミをモチーフにして、ハサミ同士が戦っている様子を表したアニメーションや、プラスチックのモチーフが段々と集まってきて鬼の顔になるアニメーションなど、それぞれ想像力を生かして作品を作りました。

鑑賞では、アイスブレイクのゲームをしたあとで、展示室で作品を対話を交えながら鑑賞しました。ベッヒャー夫妻が撮った九枚の家の写真を鑑賞したときに、煙突があるということはこの家には暖炉があるのだと気づいた人がいました。他にも、窓の数や配置が違うことやデザインがおしゃれな家があることなど様々な角度から作品をよく観察して、気づいたことをいろいろと話してくれました。

 

スクールプログラム

渋谷区立加計塚小学校

実施日:2018年12月6日(木)

参加者:4年生 計63

 

「くずれる」をテーマにしてアニメーションを作る。

 

ベッヒャー夫妻の作品を鑑賞する。

 

中野区図工研究会(教員研修) (2018年11月14日)

中野区の小学校の図画工作の先生方の研修を行い、当館のスクールプログラムの体験として、フォトグラムと対話型作品鑑賞を体験しました。

まずは、対話型作品鑑賞のウオーミングアップとして当館オリジナルゲームを体験。

ボランティアスタッフが提示した言葉カードに最もぴったりくる色と形のカードを一人一人が選びましたが、別々のグループで活動していた二人の先生が違う言葉カードに対応するものとして形も色も全く同じカードを選びました。

一人の先生は「ドキドキする」にぴったりくるとして選び、色と形が心臓のドキドキにイメージが近いからだと話していました。

別の先生は「イライラする」にぴったりくるものとして選び、怒っている気持ちを表しているように見えるからだと話していました。

対話型作品鑑賞では、スライドを用いて台所を撮った作品を鑑賞しました。

先生方は写真の中の哺乳瓶や醬油入れなど細かい部分もしっかり観察して、

「哺乳瓶があるので、赤ちゃんがいる家庭で育児が忙しく、台所を片付けたいけれど時間がないようだ」という発言や、ポットのデザインやまな板の厚さなどの特徴から、写真が撮られた時代が昭和だと気づいた人もいました。

フォトグラムでは、各自が持参したものを使って、六つ切りとキャビネサイズの作品を作りました。

初めて暗室に入り、現像を体験し、先生方には新鮮な体験だったようです。

最後は当館スタッフが先生方からのスクールプログラムについての質問に答えました。

 

中野区図工研究会(教員研修)

実施日:20181114日(水)

参加者:計14

 

当館オリジナルゲームを体験する

段ボールカメラを被ると、驚きの視界が開けます

スクールプログラム:港区立白金の丘小学校(2018年10月2日、4日)

港区立白金の丘小学校の5年生の子供たち100名がクラスごとに2日にかけて来館し、

コマ撮りアニメーション制作と、「TOPコレクション たのしむ、まなぶ 夢のかけら」展の鑑賞を行いました。

白金の丘小学校は毎年、学校からここまで電車やバスを使わずに歩いてやってきてくれます。

コマ撮りアニメーション制作では、自分たちの手や顔など自分の体を画面の中に取り込んだり、ハサミをモチーフにして「鬼ごっこ」のアニメーションを作ったり、ビー玉を並べて蛇のように動かしたりと、それぞれ工夫を凝らした作品をむなどして、楽しみながら制作しました。

鑑賞では、渋谷のスクランブル交差点をとらえた写真作品を鑑賞したとき、これは実際のものを撮ったのか、ジオラマを撮ったものなのかという二つに考えが分かれました。

ジオラマを撮ったと思った人は木の緑色が鮮やかすぎるので作り物みたい、人や車などの質感が本物ではないみたいと言ってくれました。また、実際の風景を撮ったと思った人は、歩いている人の足元に影があるという意見や、いつもテレビの中継で見ている渋谷の交差点と同じだからと言う人もいました。

ほかにも、この作品はインスタ映えするという意見や、写真が上手な人は全体にピントを合わせて撮るものだと思っていたという意見など、いろいろな視点からの意見があがり、時間はあっという間に過ぎました。

 

スクールプログラム

港区立白金の丘小学校

実施日:2018年10月2日(火)4日(木)

参加者:5年生 計100名

 

自分の手をアニメーションモチーフのひとつに

 

本城直季の作品を鑑賞する